湯布院での展示は20日まで/武石憲太郎展[第三期:空想の森アートコレクティブ展/春の森で見た夢は<VOL:18>]
万緑の由布院。朝、珈琲を淹れていると、峨眉鳥が歌い、ウグイスの声も聞こえてきます。カッコウが鳴き、由布岳の山頂付近をミヤマキリシマが淡紅色に染めているのが見えます。朝食の残りを木立の下に捨てに行くと、正面の森の高い六本杉のてっぺんで見張っていたカラスがやってきます。巣作りから子育てへの彼らの繁忙期が始まっているのです。武石憲太郎さんの由布院空想の森美術館での個展も20日までとなり、その後は宮崎の「友愛の森ギャラリー響界」へと巡回します。自作が行方不明になるという不運なアクシデントに遭い、落ち込んでいた憲太郎さんに笑顔が戻りました。懐かしい由布院で、古い仲間たちと会い、錯綜していた紛失作品についての情報も少しずつ整理されてきて、元気を回復しつつあるのです。次は、宮崎へ来ていただきましょう。まだ、現役作家とし...湯布院での展示は20日まで/武石憲太郎展[第三期:空想の森アートコレクティブ展/春の森で見た夢は<VOL:18>]
朝、一杯のコーヒーを淹れる。至福のひととき。コーヒーの淹れ方は、故郷の町の画廊喫茶の店主の方法を習得した。そのオヤジは苦みばしった渋い男で、詩人で、元・左翼運動の闘士だということだったが、普段は物静かで、はにかんだような笑顔で若者たちに接してくれた。顔に刻まれた深い皺、肩まで垂らした長い髪、時々鋭い光を放つ眼などが、画廊と喫茶とが連結された空間によく似合っていた。まだ二十代前半だった私たちは、その店に通いつめ、絵のこと、文学のこと、音楽のこと、酒やコーヒーに関する薀蓄などを聞かされ、学んだ。豆は、市販の浅煎りの豆が入手できればそれでよろしい。手挽きミルが理想的だが、電動ミルでも、挽きながら目盛りを段階的に変化させ、粉が不ぞろいになるように加減して挽けばよい。紙フィルターに一杯の粉を入れ、その粉全体が漏斗状...詩人の珈琲【珈琲游人の旅<第2回>】
誰にも教えたことのない秘渓に入り、沢辺に車を乗り入れる。途中で一度、小橋の上から覗いてみて、20センチ級の立派なヤマメが泳いでいるのを確認した。――よし、今日はあいつを釣ろう。と入渓地点を決定し、まずおにぎりを食べる。旨い。清流の水音を聞きながら食べるおにぎりこそ山旅の最高のご馳走である。世の中全体ではコメ騒動が続いているが、通り過ぎてきた棚田や谷沿いの小さな田んぼにまで、青々と稲苗が成長し、早場米は穂を膨らませているものもある。食料不足は農家の問題ではなく消費者すなわち都市生活者の問題なのである、とは、農民作家として半世紀前の農業の課題を提起した山下惣一氏が述べている。林間から摘んできた野生の茗荷の葉に乗せたおにぎりを食べながら、この国の農業政策の行き詰まりと、それを視野に置きながら、変わらずに「農」の...秘渓の沢辺で珈琲を一杯【珈琲游人の旅<第1回>】
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