夜神楽連続二夜探訪の収穫【神楽と仮面の民俗誌 2024-2025<14>】
神楽の絵を描き始めておよそ30年、15年ほどの中断期間を挟んで、近年の10年ほどは、ひと晩に100枚のスケッチをこなすことを自分に課た。それを1シーズンに10週から15週という鍛錬を重ねる旅を続けたのは、己の力量が神楽の神秘世界、伝えてきた歴史時間や芸の奥深さなどに到底太刀打ちではないと観念したからだった。今季、椎葉・栂尾神楽と東米良・尾八重神楽の二座の夜神楽を二夜続けて訪れ、絵を描き終えて帰る途中、米良山系から椎葉の山脈へと連なる山岳を照らす朝日を見ながら、なんとなく――ああ、これほどの練習を重ねても思うような作品は出来ないなあ、今後努力を続けても中世の絵巻などに描かれた無名の画人の絵のような境地には至らないのかなあ、絵の才能とか資質などは天与のものでしかないのだろうか・・・・と、ため息が思わず出た。星...夜神楽連続二夜探訪の収穫【神楽と仮面の民俗誌2024-2025<14>】
南朝の秘史と大王様の物語/2024村所神楽にて【神楽と仮面の民俗誌 2024-2025<27>】
【南朝の秘史と大王様の物語】南北朝時代末期、北朝と足利幕府連合軍との大宰府での決戦に敗れた南朝の一族とそれを支えてともに戦った肥後・菊池の一族は米良の山中深く逃れた。米良の山人は貴人と武人の一行を神として迎え、神楽に伝えた。「大王様」とは、後醍醐天皇の第九皇子・懐良親王を表す。政争に敗れて吉野に逃れた後醍醐天皇により南朝再興の夢を託され、転戦した皇子・懐良は一時は九州を制したが、悲願を果たせず流亡の身となった。悲運の皇子とその一族の物語は終夜吹き荒れた北風と哀調を帯びた神楽笛の音に乗って演じ続けられた。南朝の秘史と大王様の物語/2024村所神楽にて【神楽と仮面の民俗誌2024-2025<27>】
ちょっと一休み。長旅を終えた後のような心地よい疲労感。出会った神楽の一場面一場面を思い出しながら、体力と気力の回復を待とう。掲示は「山神の祓」/40㌢×78㌢・和紙に水墨・インク・染料など。今季の神楽取材に入る前に出来た作品。「山神の祓(はらい)」とは、狩人や木地師、山仕事の人たちなどが山に入る前に唱える祓いの祝詞(のりと)。画面に小さく描かれているのがその文言だが、少しずつ滲みがあって完全な解読は難しい。素人や神がかり系の人たちなどが軽はずみにこの文言を唱えると、山神の怒りに触れて山の木にされてしまうなどの災難がふりかかる怖れがるので、このままにしておく。古式の鹿狩りを伝え、鹿狩りの神様が出る「鹿倉舞」を伝える東米良・中之又神楽の長老、故・中武福男翁と一緒に山に入る時、翁がこの祓いを行なった。添えられて...山神の祓【神楽と仮面の民俗誌2024-2025<26>】
「地域生活(街) 九州ブログ」 カテゴリー一覧(参加人数順)